人より優秀でなくてはならない

TMSという病がある。

それについて調べていくうちに、自分の人生を振り返る必要が出てきた。

思い出す限りここに記そうと思う。

殴り書きになってしまうことを勘弁願いたい。

 

幼少期の呪い

よく"小さい頃に親にかけられた言葉"で人格は形作られると言われている。

それに沿って小さい頃を思い出してみる。

 

普通の子供と同じようにわがままで泣き虫で、虫やおもちゃが大好きだったことは間違いない。

 

ただ今ふと思い出すのは"わりかし万能"な子供だったということだ。

(嫌味として伝わってしまったら申し訳ない)

 

母親はどちらかといえば教育熱心な方で、いい大学に行くべきというタイプ。

父親は家業を継いだとはいえ大学にも行っていたようだが、好きなことをすべきというタイプではあった。

 

その組み合わせで僕はどう育ったかというと、とりあえず色々な習い事をした。

体操、水泳、ピアノ、公文式、習字、そろばん、学習塾、思い出せるだけでもこのぐらいは通っていた。

(ただ僕の継続性のなさは当時からで、大体は数年で辞めていたが)

 

また、6月生まれということもあり体の成長も周囲より早かった。

つまりどんな子供だったか、というと

足が早くその他のスポーツも大体平均より上(球技は除く)

勉強も数年先に学ぶことを先んじてやっていた子供だった。

簡単にいうと運動も勉強もできる子だ。

 

当時はそれをよく褒められていた気がするし、それが嬉しかったと思う。

田舎での名誉職は士業とか銀行員とかで、医者になるのかな?と良く言われていた。

 

今思い出せば、自分は特別な存在であり、何をやってもそれなりにうまくいく、という感覚だった気がする。

体も大きかったから同級生に対しては態度も大きかったような気がする。

きっと嫌なやつだったかもしれない。

 

小学校で受験し、中学は進学校へ行くことになった。

 

自尊心の崩壊

さて、ここまでは"井戸の中にいるカエル"だった。

小学校では最終的に学年で一番足が早く、進学校受験組を除けば成績はトップだった。

この辺りから徐々に"自分より何かをうまくやれる同級生"が出現する。

 

小学校の時にすでに片鱗はあった。

運動もできる、勉強もできる。が、当時好きだった女の子には見向きもされなかった。

クラスで一番目立っていた運動も勉強もそこそこできてしゃべるのが上手、野球もうまいという人気者のことがその子は好きなようだった。

"なんとなくこいつには何かが負けている"そう思っていた。

テストの点数が気になることはそれまでなかったが、その人気者に負けた時だけは心底悔しかった覚えがある。

 

 

進学校では、自分より遥かに勉強が得意な人がたくさんいた。

足の速い奴ももちろんいっぱいだった。

 

バスケ部に入った。最初は体が大きいのですぐレギュラーになった。

が、上達はすぐにストップしてしまった。(あの停滞感はとても辛かった)

シュートはどんなに練習しても入らない。体力も一向に増えない。

 

そしてある時大怪我をして、学校の授業をしばらく休まなくてはならなかった。

久しぶりの登校、授業の内容はすでにさっぱりついていけなかった。

 

 

僕が小さい頃、周りより優れていると思えた理由はシンプルだった。

周りより先に初めてアドバンテージをとっていただけだった。

 

 

しかし思春期の僕にはそんなことを気づく脳みそも謙虚さもない。

単純に受け入れられず、プライドだけが高くなっていった。

 

 

バスケ部をやめた。下手な自分を受け入れられなかったからだ。

勉強をやめた。大怪我という素晴らしい言い訳があった。

 

 

ギターを始めた。

誰もやっていなかったし、比較されることもない。

自分が一番うまいことにできる。ちょうどいい。

(もちろん音楽は好きだった気がするけれどいい逃げ道だったとも思う)

 

 

 

このあたりで、顔中がニキビだらけになった。

それまでは彼女ができたり、それなりにモテたりはしていたけれど

このあたりから女子に避けられていたように思う。

(後から聞いた話では理由はもっと別の人間的なところにあったらしく死んだ)

人と目を合わせて会話することもなくなった。

1年中マスクをつけて生活するようになった。

毎日自分の醜さに絶望して、悲劇のヒロインとしてブログにポエムをぶちまけていた。

 

 

 

ここでもまだ受け入れられなかった。

自分が優秀な人間ではないということを受け入れきれなかった。

何かで自分を保たなくてはならなかった。それがバンドだった。

 

 

自尊心の喪失

 

受験で失敗することをプライドが許さなかったので指定校推薦で大学にいった。

(とにかく周りに頭の悪い奴だと思われたくなかった)

なんとなく、色々なことをそつなくこなすキャラクターとして生きていたから。

飛び抜けて優れた何かがない以上、要領のよい人間として振る舞う必要があった。

本気を出せば、こいつはもっとすごいんじゃないか?というハッタリだった。

 

 

大学では全てがゼロからスタートした。

関東から関西の大学へ進学したので、友達がゼロからのスタートだった。

 

 

大学は最初は調子がよかったように思う。

私立文系らしく周囲の人間はほとんど勉強しないため、ちょっと勉強するだけでいい成績をキープできた。

 

 

小学生の時にうっすらと自分の中にモヤついていたものは、

大学生の時に明確なコンプレックスになった。

自分は輪に入るのが苦手である、ということだ。

 

 

小学校の時は何でもできたのでチヤホヤされた。

中高は6年間も一緒にいるので、それなりにうまくやれた。

バンドをやっていたおかげもあっただろう。

(真面目な生徒の中に少し不真面目な生徒がいるだけで目立つ)

 

 

何の肩書きも能力もないまま、人間関係を構築したことがなかったのだ。

でももちろんそれも受け入れられない。

大学の中で華やかに見えるグループ(仲睦まじいグループという方が正しいかも)

をいつしか勉強もしない中身のないダサい奴らと敬遠するようになった(僻み)

 

 

バンドは比較的うまくやっていたが、自分よりうまい人間がたくさん現れた。

いつしかギターの上達も止まってしまった。

他に自分を保つ代替品もなかったので、実力がバレないような曲をやっていた。

 

 

ここまできて、繰り返してきたことを抽象化してみるとこうだ。

1.自分が劣っていると感じる

2.他に何か勝てそうなものがないかを探し、始める

3.比較対象がいないため自分を保つことができる

4.やがて比較対象が現れ、自分が劣っていることに耐えられなくなる

 

 

 

僕はつまり誰かと比較していないと立っていられない人間なのである。

 

 

死にたいと思った時は大体が誰かに無能だと思われた気がする時、

誰かと比較して自分には何もないと感じた時だったと思う。

 

 

 

じゃあ僕はこれからどう生きていくのか。

これから探していくしかない。