ベンチャー若手が知っておきたいお金の流れ

ベンチャー企業においてできる限り経営視点を持つことは自分の成長や裁量、自由を得るために非常に重要なことだと思う。

その第一歩としての「お金の流れ」の超基本的なことを備忘録がてら綴ります。

 

まず知っておいて欲しいキーワード

1.キャッシュフロー
「現金の流れ」のこと。
実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れ。

 

2.黒字倒産
利益をあげている黒字状態にも関わらず支払いなどが滞り倒産すること。

 

3.固定費と変動費
固定費:基本的に毎月、年ごとなど定期的に固定でかかる費用のこと。家賃や人件費など。
変動費:月や年によって変動する費用のこと。広告費や開発費など。

 

4.ストック収益とフロー(ショット)収益
ストック収益:サービスや商品の継続的な提供に対して、定期的に定額で金銭を受け取る収益
フロー収益:サービスや商品を提供するたびに金銭を受け取る収益


急成長企業が気をつけないといけない「キャッシュフロー

では本題へ。

 

支払いと入金
会社のお金の流れには基本的に2つで「支払い(=支出)」と「入金(=収入」。
ここで大事なのは、基本的に「支払いが先に来て入金が後に来る」ということ。
自分の収入とクレジットカードの逆だと思ってもらえれば分かりやすいかな。

事業においてお客さんからの入金はだいたい受注の次月末以降になるので、
受注してから大体1〜2ヶ月くらいのタイムラグがあるって感じ。

 

倒産する企業の50%以上が黒字

gentosha-go.com


企業は赤字によって倒産すると思われがちだが、実は40%以上が増収を維持していた企業で、そして50%以上が黒字の状態で倒産している(らしい)。
要はどんなに会社が利益をあげていても現金が不足すれば倒産するわけだ。

 

急成長企業に起こるキャッシュフロー危機
そしてベンチャー企業(急成長企業)は特に気をつけないといけない。

例えば(売上ベースで)
11月実績=500万円→12月末入金
12月実績=800万円→1月末入金
1月目標=1,200万円
2月目標=1,600万円
とした場合、
1月=500万円の売上で1,200万円の売上を出すための入金
2月=800万円の収入で1.600万円の売上を出すための入金
をことになる(ちょっと分かりづらいかな?)。


1月の1,200万円の売上を出すには、例えば外注費の支払いやWebマーケの広告費が大幅に増えることになる。
当然人も増やさないといけないので人件費も増える。
それを二月前の11月にあげた売上(=利益)から賄わないといけない。
大きな売上を作るためにはその分のお金(=支出)が必要であり、それらを賄うのは自分達がほぼ2ヶ月前にあげた収入から、ということだ。
当然、大きな幅で成長したい企業はそれではお金が足りないに決まってる。

 

だからお金を貸してもらう
じゃあこの足りない分をどうしよう、ということでお金を借りる。
ただ当然、貸してとお願いして1億円貸してくれるみたいなことはまずない。
過去の実績(=計画達成度や売上規模)を元に融資を受けることができる。

(VCとかだとまたちょっと違った基準だったりするけど)
そして事業計画はその融資を計算してたてていて、売上目標を達成できなかった場合、融資額が想定より下がりキャッシュフローが圧迫される危機的状況に陥る。

だから計画とか目標って夢じゃなくてクリアしないといけないハードルなんだよね。
あと事業計画は融資先との「約束」でもあるので守れなかった場合はどんどん信頼が失われていき、借入額が少なくなっていく可能性もある。
まぁ計画よりショートした分だけそもそもの支出が落ちるから、ダイレクトにキャッシュフローに影響して借り入れを行っても足りない、という状況になるんだけどね。


黒字倒産をしないために必要なこと

計画通りの売上をあげる
収入をそもそも確保することが一番大事。これによって融資の額も変わるので。

固定費を必要以上に膨らませない
固定費って簡単に減らせないんだよね。多くの企業が移転や採用に慎重になる理由。

ストック収益も増やしていく
ストック収益は月によって変動しないのでヨミをたてやすく、融資先からの評価も高い。

まとめ
会社は儲かっていても倒産することがある
そのためには計画の達成が重要


おまけ

何故会社は金儲けをする必要があるのか
金儲け=悪、という感覚が強い人が結構いる。
だけど会社が金儲け(=利益をあげる)をするのにはちゃんと理由がある。
会社はそれぞれ「社会をどう良くしていきたいのか」という目的を持って存在してて、そのために社会に対する価値や影響力をどんどん大きくしていく必要がある。
社会へ価値を提供する(利益を得る)→投資する→より大きな価値を社会へ提供する(より大きな利益を得る)→また投資する→....
この繰り返しで会社は目的へ近づいていく。
お金を稼いでまた投資して、を繰り返して大きくなっていく感じ。
逆に目的なく金を稼ぐ会社なんて泥棒と一緒かもしれないよね。
(お金もらえてる時点で一定の社会への価値提供はあるんだけどね)
そしてその社会への価値提供を継続していく(=働いている人や取引先が活動を続ける)ためにも利益が必要なわけですね。
つまりお金を稼ぐってのはあくまで会社の目的達成のための手段ってことだね。

 

ベンチャーにいると色々な情報に触れる機会があって混乱することも多いと思うけど、せっかくなので成長機会と捉えて楽しんで学んでいくのがいいと思います。

 

でもたまに疲れるので、時にはビールのんで早く寝ましょう。